1「平面の型」を切り出す

1「平面の型」を切り出す

2026年7月24日

 手縫で革の靴を作るとき、「平面の型を切り出す、縫い穴を開ける、縫って立体にする」ということをする。

 まずは「平面の型」を半裁の革から切り出す。

 

Screenshot

画面左側から、小指側の型、親指側の型、底革の型。

栃木レザー 3.5mm程度

 今回は栃木レザー 3.5mm程度の厚みの革を使って作ってみる。僕は大体はじめに半裁で革を買って、背中から肩にかけての真ん中あたりを大きく使って鞄を作ります。その後残った肩〜脇腹にかけてや、お尻〜脇腹にかけての部分を使って靴を作ります。

国産べンズ 黒 6mm程度

 

 これは別の革で、6mm程度の厚さの背中の革。厚みと硬さが出るように鞣されていて、「べンズ」という名前で流通している。さっきの栃木レザーは足を上から覆う部分の「小指側」「親指側」として使い、こちらは「底革」として使う。「底革」は足の裏の形に切り出して、そのままでは平たい「小指側」「親指側」の革を「足の形と動きに沿わせる形」という立体になるように縫いつけるための革。

 

 革には裏表があるので、表(銀面と呼ばれる、ツルツルの方)が上になる(足の裏の方を向く)ように、型を使って底革を切り出す。

 間に合う場所に型をおいて、銀ペンでなぞる。

 型には中心を表す印がつま先と踵にあるので、その印をつけておく。革に縫い穴を開ける時と、縫うときに目印になる。

 

 底革に使う革は硬くて厚みがあるのでとてもハサミでは切れない。彫刻刀の平刀や平ノミを使って切り出す。

 切り出せた。

 次は足を覆う革、小指側の型を切り出す。

 型を当てて、ボールペンでなぞる。線がひける。この時、縫い代を残して切り出せるように気を付ける。

 足の甲を固定する紐を通す部分を書き足す。一応これも型を使っているけど、これぐらいなら型を使わなくても目で見て書ける。結局縫うときには目を使うことになるし、型に頼りきりにならずにその都度手描きの部分を加えられるぐらいで作っていくとよい。

 描き足した。上の革の型にある目印が重要。ここから始めるという目印。ここの目印があれば、あとはこの目印から大体これぐらい開けて、これぐらいの長さの帯をつけて、と、型を使わなくても描ける。

 これぐらいの厚みの革なら、革を切るのに向いたハサミで全然OK。ただ切っている最中に銀面を傷つけないように注意。特に切る方向を変えるためにハサミを回すとき。
 縫い代を残すのは赤線の部分。赤線が引かれていないところは、線を切るようにして切って大丈夫。

 

 切り出せた。反対側の、親指側も同じように。

 

間に合うところにのせて

線をひく。赤線が縫い代を残す部分。

 切り出せた。

 これで「小指側」と「親指側」、「底革」が切り出せた。

 足一つ分を作るときに切り出す部分は実はまだある。底革の裏に貼り付ける革、「貼革」。これは二つあって、底側全体に貼り付けるものと、踵だけに貼り付けるもの。貼革は、履いて動いたときに底革の消耗を抑えるために貼り付けておく革。接着には革用の接着剤を使う。接着剤で貼り付けておくだけでも履いているうちに剥がれてしまうことは滅多にないし、動いているうちに消耗していったら、底革が削れてしまう前にペンチで簡単に剥がして、新しい貼革を貼り付けることができる。底革が削れてしまうと、縫い付けた上の革もほつれて行って履けなくなってしまうので、底側を摩耗から守ることが大事になる。

 と言っても、底革が削れてしまっても、新しく底革を作り直せば済むので、そこまで繊細になる必要もない。上の革も同様。靴が自分で作れると手直しや同じものを作り直すことも日常的なことにすることができる。お気に入りの商品を高額で買って、壊れたら直せないから繊細に履いて靴の形を保つことに注力するといった感覚は変わってくる。

 自分で作れると、今靴として履いている革は、壊れて革を変える必要が出てきたら別の何かになる、という感覚が自然になってくる。

 今回「貼革」に使う革は、厚さが2mmほどのヌメ革。できるだけ硬い方がいい。厚さはどれぐらいでもいいと思う。6mmの背中の革を使ってもいいと思う。薄いと軽くなるし、動いたときに地面の凸凹が感じられる靴が私は好きなので、今回はこの2mmのヌメ革を使う。

底革の型を使って切り出す。銀面が地面に直接触れるように合わせる。型に合わせて、ボールペンで線を引いて、切る。

 切り出せた。

 次は踵の革を切り出す。踵の部分は動くときに斜めに地面に接地することが多いので、2mmの貼革だけでは底革がどんどん削れていってしまう。なので高さが必要になる。踵の部分は動いたときに力が強く加わりやすくて最も削れていく。さらに摩耗に強くするためにもう一枚この「踵の革」を貼り付けておくといい。

 使う革は、今回は底革に使った背中の革と同じもの。底革の型を合わせて、踵の革を切り出す印があるので、そこまで銀ペンで線を引く。切り出す。

切り出せた。

 必要な切り出す部分はまだ少しあって、それが「中底」と「合わせ」。「中底」は足の裏と直接触れる部分の革。「合わせ」は底革に縫い付けた上の革の、縫い代の部分に足の裏が触れたときにその厚みが足の裏を圧迫して痛みが出るのを防ぐために、縫い代の厚みに底側の高さを合わせる革。さらにその上から「中底」を敷いて縫い代のでこぼこや合わせと縫い代の隙間が直接足の裏に触れて痛みが出るのを防ぐ。

 この部分は靴の形ができる前の今の段階で言葉で説明しても伝えづらい。靴の形ができてきたらよくわかる。

 「中底」「合わせ」、どちらも型を通して切り出す。写真の左から「合わせ」、「中底」。一番左は底革の型。「中底」は底革の型から大体同じ形で小さくしたもの。「合わせ」は中底よりもさらに小さくしたもの。

このように、重ねると少しづつ小さいのがわかる。

 

 今回、「中底」と「合わせ」は、貼革に使ったのと同じ2mmのヌメ革を使う。「中底」は、足の裏が直接触れる部分なので、肌触りがよいものがいい。「合わせ」は高さが合わせられればいいので、床革でもいいのだけど、今2〜3mmほどの厚みの床革がないので、同じくこのヌメ革を使う。

 上の革に使う革の厚みは3mmほど。このヌメだと2mmなので、1mm厚みが合わない。その上から中底を敷くし、革は圧が加わると1mmほどは潰れるので、大丈夫だとは思うのだけど、ここの1mmの厚みの差で痛みが出るようなら後から一度中底を剥がして、1mmほどの厚みの床革を合わせとして追加で貼るつもり。

 

 切り出せた。

 

 これで一つの足の分を作る革の型は全て切り出せた。写真の左側から、「小指側」「親指側」「底革」「貼革(全体と踵)」「合わせ」「中底」

 一応まだあと紐が必要だけど、型を切り出すという感じではないのでまた今度。

 次は「小指側」「親指側」「底側」に、縫い針を通すための穴を開ける。

 必要な道具は2mm巾の菱目打ち2本と4本。あとは目打ちをするために必要なゴム板と木槌。結構音が出るので、音を出してもいい環境というのが都会だと難しいのだけど、工場を少しの時間貸してくれるみたいな革屋さんが都会にはあったり、音が出ない目打ちをするプレス機みたいなのもある。高いけど。