彫る時の身体

 これから彫る線のイメージと身体の構えが同時に出てくる。そのまま流れで彫るのではなく一度止まることが大切。イメージと身体の構えをつくる流れを一度止めると、さあっと視界が開ける。身体の重心を探る。椅子の座面。違和感がある、骨が通っていないような感じのする時は足場を確認する。何かにぶつかっている。充電ケーブル。まずは足場を片付けて、自分の身体に合わないものがあるなら少しづつ自分でつくっていくしかない。

 止めが入ると長く動くことができる。腰、腹、背中の力を抜いて休みながらでいい。けれど止めたまま流れがなく動くと伸びのない線になる。流れをつくり、止めて、また流れるように線を彫る。流れてばかりだとやはり止められなくなり隙が多い線になる。止めたままだと伸びやかさが出ない。止めと流れを繰り返して、調和した力と意識のかけ方をみつけてそこで続けることが大切。

 2025/12/19