「朝日さんはなんとなくこの状態から完成図はみえますか? 実際に施術しないと難しいですかね??」
そうですね〜、うっすらぼんやりと予感されなくはないといった感じです。ただかなり黒いものが見える気がします。 実際に施術しないと難しいというのは、その通りだなと思います。
私自身彫師として、はじめからイメージ可能なものを、絵に描いたりして(イメージ可能だから絵で描くことができる)それを再現しようとする彫りのあり方より、つくるものは彫りながらつくる、という意識で、彫る前には全く想像もつかなかったものが立ち上がってくるというような彫りが好きです。
黒の上に赤を彫るというのは、とても実験的ですよね。ほとんど試されてきてないことだと思いますので、正確なことは言えなさそうです。ただ、何らかの変化は必ず起こると思います。その変化をどのように扱うかという可能性は面白く感じていて、私自身の体にも、黒の上から有彩色のインクで彫ろうかどうか検討中です。
「満足できる形」がどこかにあって、それを彫師が提示できるか?というより、満足できる形を自分たちで新しくつくっていく意思が必要なのかもしれません。違う言い方をすれば、これだ!という形をつくることができるまで、思いつくことを一つずつ積み重ねて進み続けていく意思が大事になりそうだなと思いました。 差し出がましいことを言ってしまい恐縮ではありますが、実際にお会いして話すことになればお伝えする内容なのだと思います。少し困難が伺える作品制作を前にした時は、いれずみを彫るということは、彫る人ご本人さんと彫師の「共同制作」であるということを事前に確認しておくことが大事だなと思います。