テマとヒマ

テマとヒマ

2025年12月17日

テマとヒマをかけることが大切。

2025/12/17−1

 黒いインクを使って線を一度に作るのではなく、まずは中墨を使って輪郭が淡く残るよう彫って、一度皮膚を治癒させる。治ったら濃墨を少しと淡墨も少し彫り重ねる。また治癒させる。治ったらまた任意の墨を重ねる。面の塗りで用いる多様な墨の色調が線の中に凝縮されるように線をつくる。うわついた光の黒ではなく、底光するような色をつくりたい。

 繰り返しの工程を積んでいく「テマ」と、治癒の期間を通して身体という自然に委ねる「ヒマ」をかけることが大切。

2025/12/17−2

 脇周辺の部分は現在、「ヒマ」になっている。

 完成のイメージを成立させ切らずに進めているというのと、彫る人が対象(モチーフ)の希望を出し、彫師が構成を組むというやりとりで進めているのでイメージが統一されていない。そのため、ここでいう脇周辺のように、どうしたらとりあわせきれるのかわからない場所が出てくる。そういう場所は「ヒマ」になる。

 「ヒマ」はこれから大切な何かが自然と芽吹いてくる場所なので、そっと傷つけずにおいておく。芽吹いてくるのはもうすぐかもしれないし、何十年も先かもしれない。